それに、旅とはひとりでするものだ。
2005年12月21日 読書 コメント (2)
インベーダー・ストリート
ISBN:4257010754 新書 菊地 秀行
朝日ソノラマ 2005/08 ¥1,050(古本屋で¥510-)
先日新書版で新しく発行されていたのを発見して、『風の名はアムネジア』も『インベーダー・サマー』も読んだ事のない作品だったから早速買おうと思ったのだが、ふと
「ソノラマ版を古本屋で探せば200円で済むか……?」
とか思ってしまったので、購入を保留(笑)。その後古本屋に行った時に、新書版の方を見つけてしまったというナイスな本。新品の約半額で新書版の読みやすさ。ラッキー。
……すみません、キクチ先生。印税入らないよ……。
風の名はアムネジア
確か角川アニメになった作品だったように記憶している。観てはいないんだけど。何と同時上映だったかな。『五つ星物語』は『宇宙皇子』だったしな。『スレイヤーズ』でもないよな?
それともビデオだけだったのかな。覚えてないな。
ええと、1993年にビデオが出ている。ひえ〜、12,3年前か。でもその程度なのか。20年くらい前かと思っていた。
菊地先生、デビュー4作目の作品らしい。そのせいかどのせいか、菊地先生が書く作品の主役とは思えない程、主人公のワタル君がのんびりしている。結構やばいでしょ、という目にあっても「まあいいか」で、わりと後回しにされがち。漢だぜ、ワタル君。
でっかいでっかいアメリカで生きてりゃそういう考えにもなるのだろうか。日本にいては理解しにくい感覚かもな〜。
突如、全世界の人間の「記憶」が無くなるという事件が起こってから3年。辛うじて過去の知識を持つワタルは世界を旅して回り、人々が原始人さながらの生活をしている様を見て歩く。そこでワタルは思う。
「僕ら人間が長い時間を掛けて作り上げてきたものは、この程度の、薄皮一枚のようなものだったのだろうか?」
個人的にはそうは思いたくないナアと。築いてきたものが「薄皮一枚」程度のものであったことよりも、それを築いて広めて伝えてきたということの方を讃えたいと思うわけで。また何十億年か経てば「薄皮二枚」くらいのものになるかも知れない訳だし(気の長い話しだが)。
そう言う意味では、ソフィア達の取った方法って卑怯だったんじゃないかと思うんだよねえ。才能を生まれ持ってくる事が素晴らしい事じゃないんだよ。それを育てて延ばして維持していく事の方が大変な事なんだから。
と、努力もしなかった人間が言ってみるわけだ(笑)
しかしながらワタルの中に過去の事は、知識としてはあるけれども記憶としてはないわけで、彼は彼自身の問いに結論を出す事が出来ない。そしてまたワタルの旅の相棒・ソフィアも、旅の終わりにある結論を出す訳なのだが。
ソフィアがどんな結論を出したのか。凄く気にはなるんだけど、やっぱりワタルの言う通り「まあいいさ」って事なのかも。どんな結果になっても、俺は行く。道はある。そういうワタルの心持ちがあるから、あそこで終わっていても案外とスッキリした気分になれるのかも。
でもあの後どうなったんだろう。気にはなるのよね(笑)
インベーダー・サマー
久しぶりに「菊地秀行に切なくさせられる」という屈辱を味わう(酷)。なんか『風立ちてD』以来な気がするのだが。
というか、上の紹介文の「リリカルに謳い上げるひと夏の侵略」って。リリカルな侵略(笑)
ちなみにこちらがデビュー3作目の作品。この頃ってこういう作品を書いていたのね。
「恋するものの想いは世界を変えることもできる」
って、まさにその通りなお話しでして。
東やよいに恋した夕笛高校の男子生徒諸君はその想いで世界を変えて、いまも影野弥生に恋してる片桐くんは変わりゆく世界にあっても全く変わらないでいることを選んだ。
起こした現象は全く逆の事なんだけど、やっている事は同じということなんだろうなあ。恋するオトコノコって凄いわね。
『風の名はアムネジア』よりもよっぽど日常的な舞台で起こる事件なのに、わりと救いが無く終わるのが切ない。この「侵略」が無ければ幸せに暮らして行けただろう人達が多かったのが原因だろうか。何とか日常に戻れた人たちも、全てをなかった事には出来ないからなあ。
……出来ないんだよな?夢オチとかそういうことじゃないのよね??
個人的には倉持君が。もう少し骨折が直るのが遅かったら、と思うとね……(ほろり)。
それにしても、今どき「インベーダー」って言葉も使わないな〜っと思った訳だ(笑)どちらかと言えば「エイリアン」だろうか。
「インベーダー」か。懐かしい響きだなあ。
ISBN:4257010754 新書 菊地 秀行
朝日ソノラマ 2005/08 ¥1,050(古本屋で¥510-)
先日新書版で新しく発行されていたのを発見して、『風の名はアムネジア』も『インベーダー・サマー』も読んだ事のない作品だったから早速買おうと思ったのだが、ふと
「ソノラマ版を古本屋で探せば200円で済むか……?」
とか思ってしまったので、購入を保留(笑)。その後古本屋に行った時に、新書版の方を見つけてしまったというナイスな本。新品の約半額で新書版の読みやすさ。ラッキー。
……すみません、キクチ先生。印税入らないよ……。
風の名はアムネジア
全ての記憶を失った人類に何が残されているか。それを知るために、ワタルは廃墟と化したかつての巨大な文明国アメリカ横断の旅に出た。そこにはなお生き続ける人々の営みがある。
確か角川アニメになった作品だったように記憶している。観てはいないんだけど。何と同時上映だったかな。『五つ星物語』は『宇宙皇子』だったしな。『スレイヤーズ』でもないよな?
それともビデオだけだったのかな。覚えてないな。
ええと、1993年にビデオが出ている。ひえ〜、12,3年前か。でもその程度なのか。20年くらい前かと思っていた。
菊地先生、デビュー4作目の作品らしい。そのせいかどのせいか、菊地先生が書く作品の主役とは思えない程、主人公のワタル君がのんびりしている。結構やばいでしょ、という目にあっても「まあいいか」で、わりと後回しにされがち。漢だぜ、ワタル君。
でっかいでっかいアメリカで生きてりゃそういう考えにもなるのだろうか。日本にいては理解しにくい感覚かもな〜。
突如、全世界の人間の「記憶」が無くなるという事件が起こってから3年。辛うじて過去の知識を持つワタルは世界を旅して回り、人々が原始人さながらの生活をしている様を見て歩く。そこでワタルは思う。
「僕ら人間が長い時間を掛けて作り上げてきたものは、この程度の、薄皮一枚のようなものだったのだろうか?」
個人的にはそうは思いたくないナアと。築いてきたものが「薄皮一枚」程度のものであったことよりも、それを築いて広めて伝えてきたということの方を讃えたいと思うわけで。また何十億年か経てば「薄皮二枚」くらいのものになるかも知れない訳だし(気の長い話しだが)。
そう言う意味では、ソフィア達の取った方法って卑怯だったんじゃないかと思うんだよねえ。才能を生まれ持ってくる事が素晴らしい事じゃないんだよ。それを育てて延ばして維持していく事の方が大変な事なんだから。
と、努力もしなかった人間が言ってみるわけだ(笑)
しかしながらワタルの中に過去の事は、知識としてはあるけれども記憶としてはないわけで、彼は彼自身の問いに結論を出す事が出来ない。そしてまたワタルの旅の相棒・ソフィアも、旅の終わりにある結論を出す訳なのだが。
ソフィアがどんな結論を出したのか。凄く気にはなるんだけど、やっぱりワタルの言う通り「まあいいさ」って事なのかも。どんな結果になっても、俺は行く。道はある。そういうワタルの心持ちがあるから、あそこで終わっていても案外とスッキリした気分になれるのかも。
でもあの後どうなったんだろう。気にはなるのよね(笑)
インベーダー・サマー
夏の日の午後、夕笛高のグラウンドにひっそりと立つ白い少女は、一瞬にして男子生徒の心を虜にした。少女への想いに胸を焦がす若者たちの口からは奇怪な言葉が溢れだし、描く絵はこの世のものではない色彩を帯びた。信州の青い山脈に囲まれた夕笛市に、異世界の影が白い少女の装いで訪れたのだ。―当代きってのストーリーテラーがリリカルに謳い上げる、あるひと夏の侵略。
久しぶりに「菊地秀行に切なくさせられる」という屈辱を味わう(酷)。なんか『風立ちてD』以来な気がするのだが。
というか、上の紹介文の「リリカルに謳い上げるひと夏の侵略」って。リリカルな侵略(笑)
ちなみにこちらがデビュー3作目の作品。この頃ってこういう作品を書いていたのね。
「恋するものの想いは世界を変えることもできる」
って、まさにその通りなお話しでして。
東やよいに恋した夕笛高校の男子生徒諸君はその想いで世界を変えて、いまも影野弥生に恋してる片桐くんは変わりゆく世界にあっても全く変わらないでいることを選んだ。
起こした現象は全く逆の事なんだけど、やっている事は同じということなんだろうなあ。恋するオトコノコって凄いわね。
『風の名はアムネジア』よりもよっぽど日常的な舞台で起こる事件なのに、わりと救いが無く終わるのが切ない。この「侵略」が無ければ幸せに暮らして行けただろう人達が多かったのが原因だろうか。何とか日常に戻れた人たちも、全てをなかった事には出来ないからなあ。
……出来ないんだよな?夢オチとかそういうことじゃないのよね??
個人的には倉持君が。もう少し骨折が直るのが遅かったら、と思うとね……(ほろり)。
それにしても、今どき「インベーダー」って言葉も使わないな〜っと思った訳だ(笑)どちらかと言えば「エイリアン」だろうか。
「インベーダー」か。懐かしい響きだなあ。
コメント
まったく覚えていないんですけどね……。でも“「菊地秀行に切なくさせられる」という屈辱”っていう表現に、ついつい笑っちゃいました。
菊地作品で“エイリアン”だと八頭大シリーズになっちゃいますね。
いやー、なんだかんだ言いながら、菊地作品好きなんですけど。小学校の頃から読んでますからね〜。
でもなんか菊地作品で目頭が熱くなると、何かに負けたような気になるんですよね……(笑)